Message from the President
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2026年開催予定の第5回がん緩和ケアに関する国際会議について
(Regarding the 5thInternational Research Society of the Sapporo Conference for Palliative and Supportive Care in Cancer (IRS-SCPSC) in 2026)
2023年 4月に開催された第3回・第4回合同がん緩和ケアに関する国際会議( IRS-SCPSC)が、好評の内に終了してから早くも 1年が過ぎようとしています。第5回 IRS-SCPSCは 2年後の 2026年 7月 10~11日が予定されており、かなり先の事として感じておりました。しかし、今やプログラムの企画を中心にその準備のため毎日多くの理事・関係者達とメールのやり取りを行っております。海外の著名な研究者を講演に招聘する場合、1年前だとすでにスケジュールが決まっている事が多くより早くの依頼が必要と思われます。昨年末より当方の実行委員会と主だった理事達とで第5回 IRS-SCPSCの基本構想を練って来ました。第5回 IRS-SCPSCは 2日間の日程とし4つのシンポジウムとプレナリ −セッションとして幾つかの講演、そして教育的な一般口演の部を用意しております。シンポジウムは、第1にオピオイドの基礎的な生物学的研究とそれに基づいた臨床をテーマとしています。第2は、緩和的がん治療の現状と今後の可能性、第3は、サイコオンコロジーにおける斬新なテーマ、例えば ”フロイト以降の精神分析論は緩和ケアに有効か? ” などを模索しています。第4は、安楽死を合法化する国が増えている現状を踏まえその本質をさらに踏み込んで議論するシンポジウムが計画されています。オピオイドに関するシンポジウムは Dr. Russell Portenoyと Dr. David Huiが座長として企画しすでに完成しています。それは 1, オピオイド応答の新たな科学 2, がん疼痛に対するオピオイド使用の臨床最新情報、の2部構成の 6人の講演と引き続きの討論となっています。
その他のプログラムも順次ご紹介する時期が近づいております。 2026年 7月10〜 11日に開催される第5回 IRS-SCPSCにこれまでに増してより多くの方々の参加を期待しております。
The International Research Society of the SCPSC理事長
医療法人東札幌病院 理事長
Asian Editor, BMJ Supportive & Palliative Care
Member's News
(EAPM)の会長に就任しました。
学会の成功を心よりお祈り申し上げます。
尚、学会の詳細につきましては、下記の EAPMnewsletterをクリックしていただきますと EAPM Webサイトをご覧いただけます。
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Topics
興味深い研究論文をご紹介します
Cancer Care in the Era of Artificial Intelligence
Matthew Kurian MD, Kurian Jacob J. Adashek DO, Howard (Jack) West MD
JAMA Oncol. Published online March 28, 2024.
doi:10.1001/jamaoncol.2023.7263
Medicine−Both a Science (Care) and an Art (CARE)
Theodore J. Strange MD, Mario R. Castellanos MD
JAMA. Published online April 3, 2024.
doi:10.1001/jama.2024.2508
Are Psychiatric Disorders Brain Diseases ?−A New Look at an Old Question
Kenneth S. Kendler MD
JAMA Psychiatry. 2024;81(4):325-326.
doi:10.1001/jamapsychiatry.2024.0036
Member's News
新理事就任のお知らせ
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Dr.Philip Larkin
Full Professor
Chair of Palliative Care Nursing
Lausanne University Hospital and University of Lausanne Switzerland
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Member's News
2024年1月29日、SCPSCニュースレター冬号がBMJSPCareブログに掲載されました。
BMJとは、ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(イギリス医師会雑誌:British Medical Journal)の略称で、1988年からBMJが正式名称となっているイギリスの医学誌である。国際的にも権威が高く日本でも医師であれば必ず読んでおくべき雑誌と言われている。 世界五大医学雑誌などと呼ばれる代表的な医学専門誌の一つである。フリー百科事典ウィキペディア(Wikipedia)より抜粋
History
SCPSCニュースレターへの寄稿
「質問: 真実より忠実なものは何か?
答え:物語である。」- タルムード西暦500年
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William Breitbart M.D.
Chairman
Jimmie C Holland Chair in Psychiatric Oncology
Department of Psychiatry and Behavioral Sciences
Memorial Sloan Kettering Cancer Center New York, New York, USA
President Emeritus, International Psycho-oncologySociety
Editor in Chief, Palliative & Supportive Care ( Cambridge University Press)
The Story
私の同僚であり、師であり、友人でもある石谷邦彦先生と、過去 35年にわたって分かち合ってきた意義深く、思い出深い瞬間のいくつかを共有できるこの機会をいただき、大変感謝しています。物話は 1990年、雪と氷の彫刻で彩られた札幌で開催された「さっぽろ雪まつり」から始まります。 私はメモリアル・スローン・ケタリングがんセンター( MSKCC)でフェローシップ( 1984年から 1986年まで)を修了したばかりの若い精神腫瘍医で、精神腫瘍学の分野を確立したジミー・ホランド博士と、がん疼痛管理と米国緩和医療の分野を確立したキャスリーン・フォーリー博士というお二方のパイオニアから指導を受けていました。私が精神科指導医になって4年ほど経った頃、恩師のホランド博士とフォーリー博士に、石谷邦彦先生と彼のグループが札幌で企画している学会の講演者に私が適任ではないかとご提案いただきました。 私はすぐに情報を収集し、石谷先生が 1983年に東札幌病院を設立したことを知りました。(ラッセル・ポルテノイ医師と私はフェローシップ同期生でした)。東札幌病院は、北日本に位置する北海道の札幌にあり、 243病床を備えた進行がん患者専門の病院で、 58床の緩和ケア病棟も備えていました。私はこのようなパイオニア的偉業に驚きました。石谷邦彦とは何者なのか?そして、なぜこのような先見の明を持って、パイオニア的臨床医となり、私が何十年もの月日をかけて知ることとなった、このような並外れた "ヒューマニスト "となったのだろうか。
数カ月もしないうちに、石谷先生の厚意で日本に招待いただき、私は美しい妻レイチェル(私の秘密兵器)を連れて日本へと旅立ちました。カルバリー病院のフランク・ブレシア医師とともに、1990年に開催された第4回札幌冬季がんセミナーにて「 “癌とQOL” ―ウィリアム・ブライトバート医師とフランク・ブレシア医師を講師に迎えて」をテーマに講演するためでした。 会議は大成功で、非常に多くの参加があり、広範にわたるトピックが取り上げられ、会議参加者と活発な交流と議論が繰り広げられました。私は臨床研究や執筆活動をしていた分野の、がん患者のせん妄、うつ病、疲労について話したと思います。石谷先生にとって私は未知の存在でしたが、MSKCCやカルバリー病院の同僚や友人たちから、質の高い講演ができるという私の評判を聞いていたと思います。私の講演を聴き、笑顔でうなずいている石谷先生の姿を見たときはとても嬉しかったです。私は心から安堵し、彼の高いクオリティ基準に応えられたことを誇りに思いました。
石谷先生と彼のスタッフ、そして会議主催者の方々のおもてなしは素晴らしく、手厚いものでした。私たちは音楽やダンスのイベント、晩餐会、そして札幌雪まつりの氷雪像ツアーでもてなされました。最も印象的だったのは、バッキンガム宮殿とホワイトハウスの 1/3サイズの雪像。 また、学会で講演されたの多くの方々や東札幌病院の職員の方々の音楽の才能にも驚かされた。祝賀晩餐会は、スピーチをするのではなく、バイオリンやピアノなどの演奏でした。特に、フランク・ブレシア医師のピアノ演奏を思い出します。私が子供の頃に唯一習っていた楽器はアコーディオンでしたが、幸いにもアコーディオンが用意されていなかったことは救いでした!石谷先生にホランド博士の最初の『精神腫瘍学の教科書』をサイン入りでプレゼントすることができました。
東札幌病院を見学させていただいた際に特に記憶に残っているのは、石谷先生のスタッフの方々とお会いしたことです。病院スタッフ全員から尊敬され、石谷先生からも非常に高く評価されている、威厳ある女性、看護部長にお会いできたことは、この上ない名誉であり光栄でありました。 札幌滞在最後の夕食は、石谷先生のお気に入りの地元のレストランで、よりくだけた伝統的な和食でした。私たちはテーブルであぐらをかいて座布団に座り、ごちそうに舌鼓を打ちました。私はその夜、日本料理について多くを学び、ニューヨークでの日常に遮蔽された生活では出会ったことのない料理を食べました。妻のレイチェルは、楽しく異国情緒あふれる札幌での出来事や光景の数々にすべてに心を奪われていました。レイチェルは札幌でのあの夜のことをいつも思い出しています。レイチェルがオーストラリアの女優オリビア・ニュートン・ジョンに似ているかどうかという議論が起き、私は似ているという意見で満場一致だったと思いましたが、全く似ていないという彼女の主張に私たちは皆大笑いしました!帰りのフライトは札幌の楽しい思い出で満たされ、私は「この石谷邦彦という人物はいったい何者なのだろう?そして、なぜ私は彼にこんなに感銘を受けるのだろう?」という疑問を抱えたまま帰途につきました。
それから5~7年後、私はアメリカ国立衛生研究所(NIH)/国立がん研究所の本部の壇上で、「疼痛と緩和ケアに関するコンセンサス会議」に出席していた国内外の疼痛・緩和ケア分野のリーダーたち約200人を前に、「エイズにおける疼痛」について講演をしていました。会場は、研究者、臨床医リーダー、NIHから資金援助を受けている多くの研究者、そしてアメリカ国内外からのオピニオンリーダーで埋め尽くされていました。私のさまざまな研究、および私の知見を裏付け、あるいは臨床的な知識ベースを拡大してくれた他の研究者の研究をパワーポイントでスライドに示していました。私は講演にちょっとした色彩と、場合によってはユーモアが必要であることに気づきました。研究結果を引用するだけではなく、間を取り、大勢の尊敬すべき聴衆に向かってこう言いました。「ところで、この講演では、世界中の個人的な友人が行った研究のみを引用します。」 すると会場は笑いに包まれ、私はほっとしました。
そして聴衆の左側には、椅子がひっくり返るほど激しく笑っている一人の人物がいました。石谷邦彦先生でした! 私は聴衆に向かってこう呼びかけました。「本日は大変尊敬すべき方、緩和ケアの真のパイオニア、石谷邦彦先生が札幌からいらっしゃっています!一緒に彼を歓迎し、称えましょう!」 聴衆は熱狂的な拍手で応え、石谷先生は快く拍手を受け止めましたが、私に向かってにこやかに指を振り、聴衆の中に彼がいることで大騒ぎしている私を諭しました。
ワシントンD.C.からニューヨークへ戻る列車の中で、私は微笑んでいる自分に気づき、私のヒーローである石谷邦彦についてあることに気づきました。彼は並外れた知性の持ち主なのだと。なぜなら、彼は他の聴衆の誰よりも、私の曖昧で独特なユーモアのセンスを真に理解することができたからでした。それは間違いなく偉大な知性の証だ!第二に、私は石谷邦彦先生が謙虚な人であることを知りました。最も優れた知性を持ち、人間のその時の状態を理解する者だけが持つ資質“人間性”なのです。
時は2017年、私はニューヨークから札幌までの20時間のフライトの中にいました。旅の仲間は、MSKCCでの同僚であり、自身の研究室で複数のオピオイド受容体を特定した疼痛基礎研究の真のパイオニアであるガブリル・パステルナーク医師でした。私たちは、石谷邦彦先生と東札幌病院が主催し、第2回札幌がん緩和ケアに関する国際会議に参加するために札幌へ向かっている途中でした。数日間にわたる会議は壮大で、プレナリーセッション、シンポジウム、セミナー、ワークショップが行われたました。私は、進行がん患者における「人生の意味に焦点をあてた精神療法(Meaning Centered Psychotherapy:MCP)」について講演を行い、またMCPのワークショップを実施、素晴らしい時間を過ごすことができました。会議には1000人近い参加がありました。複数のレセプション、昼食会、晩餐会、お茶会が催されました。レセプションのひとつで、私はスイスの良き友人で元研究仲間のフリードリヒ・シュティーフェル「フリッツ」と再会する機会を得ました。「フリッツ」は東札幌病院でサバティカル(長期研究休暇)を過ごしており、その経験がいかに魅力的であったかを語ってくれました。しかし、そのレセプションのハイライトは、石谷邦彦先生とじっくりと話す機会を得たことでした。彼と私は哲学、特に実存哲学について大いに語り合いました。石谷先生は、西洋の偉大な哲学者や実存主義者に精通しており、私たちはカントからジャック・デリダまで、あらゆる哲学者について大いに語り合いました。石谷先生には私が十分に認識していなかったこのような大きな一面があることを知りました。彼は真のヒューマニストであり、実存主義者であり、苦しみを改善するために人間の状態と人間の苦しみを理解することに情熱を傾けています。これが彼なのです。これが彼のライフワークであり、使命なのです。
札幌から帰宅し、私は妻のレイチェルを強く抱きしめ、35年以上にわたり私の秘密兵器である彼女にキスをしました。
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Announcement from the Secretariat
皆様にご挨拶申し上げます。
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本号の編集にあたり、春を感じさせる写真を探していたところ、折良く本学会 Senior Advisory Committeeを務めるスイス・ローザンヌ大学医学部教授 Friedrich Stiefel先生から素敵な写真が届きましたので、皆様にご紹介いたします。ローザンヌの美しい大聖堂と満開の桜をご覧いただきたく存じます。
皆様の春(南半球の方は秋)のご健康とご多幸を願っております。