Dr.Ishitaniからのメッセージ
ごあいさつ
私たちの想いと祈りは、今世界の悲惨な出来事に遭われている多くの人々と共に在ります。
Blowin’ in the Wind(風に吹かれて)
Bob Dylan(ボブ・ディラン)
Yes, and how many death will it take ‘till he knowsThat too many people have died?The answer, my friends, is blowin’ in the windThe answer is blowin’ in the wind
どれだけ多くの人が死んだなら、あまりにも酷い犠牲を払った事に気付くのだろうか?答えは、友よ、風の中答えは風の中で舞っている
がん緩和ケアに関する国際研究学会(The International Research Society of the Sapporo Conference for Palliative and Supportive Care in Cancer. IRS-SCPSC)の将来に向けて
本年4月に開催された第3回・第4回合同がん緩和ケアに関する国際会議(3rd/4th Joint SCPSC) は、大変なご好評を頂き終えることが出来ました。これもひとえに皆様方のご支援とご協力の賜物と深く感謝申し上げます。
2014年に第1回SCPSCが開催されて以来10年を経過しようとしています。これまでSCPSCでは常に先端的な話題が提供され白熱した議論が展開されてきました。しかしながら、私はここで今一度の振り返りの時と思い、理事の皆様にSCPSCの将来についての意見をお聞きしました。多くの貴重なご意見を頂きました。それらを纏めると以下の4点となります。
1)世界の緩和ケアの第一人者たちが集い、決して競合的ではなく重要なテーマを議論するユニークな機会のSCPSCは、これまで通り維持されるべきである
2)プログラム編成が主たる役割の理事会に、世界から多くのメンバーを募ることが期待される。
3)SCPSCの一般演題を口演発表とし教育的な機会とする。
4)ニュースレターを発行する。
第5回SCPSCは2026年7月10日・11日に開催の予定であり、すでに準備に入っております。SCPSCの基本的な思想、プラハ憲章の”palliative care as a human right(2013年)“ を基盤としたpalliative oncologyとpsycho-oncologyの、将来を見据えた刺激的なプログラムが編成される事を期待しております。なお本ホームページの理事会の項に9月末までの新旧理事の一覧が掲載されております。ご一読頂ければ幸いです。
The International Research Society of the SCPSC理事長
医療法人東札幌病院 理事長
Asian Editor, BMJ Supportive & Palliative Care
Member's News
BMJ Supportive&Palliative CareのEditor in ChiefのDr. Declan WalshがThe 2023 ASCO(American Society of Clinical Oncology) Annual Meeting in Juneで 栄誉あるThe Walther Cancer Foundation Supportive Oncology Awardを受賞しました。
BMJ Supportive & Palliative Care
またDr. Camilla ZimmermannがJCO(Journal of Clinical Oncology; An American Society of Clinical Oncology Journal)のassociate editorに選ばれた事も特筆すべきnewsと思われます。
the integration of standard oncology and palliative careが普遍的になりつつある現在です。この二つのnewsはそれを象徴していると思われました。
JCO
Member's News
Welcoming our latest addition to the Board of Directors
Dr.Brian Le
Director of Palliative Care at the Peter MacCallum Cancer Center and the Royal Melbourne Hospital.
Professor(Clinical), Sir Peter MacCallum Department of Oncology and Department of Medicine, University of Melbourne
Dr.Camilla Zimmermann
Professor of Medicine, University of Toronto.
The Harold and Shirley Lederman Chair in Palliative Care and Psychosocial Oncology
Dr.Grace Yang
Consultant in Palliative Medicine, National Cancer Center Singapore
Dr.Hyun Jeong Lee
Associate Scientist, Department of Psychiatry and Behavioral Science, National Cancer Center, National Cancer Survivorship Center Korea
Dr.Joachim Cohen
Professor and Chair of the End of Life Care Research Group, Vriji Universiteit, Brussel
Dr.Jong-Heun. Kim
Chief Scientist, Division of Cancer Biology, National Cancer Center Korea
Dr.Joseph Clark
Lecturer in Global Palliative Care, Wolfson Palliative Care Research Center, University of Hull.
A member of Lancet Commission; The Humanitarian Crisis in Cancer: Palliative Care in Low Resource Settings
Dr.Karen Steinhauser
Professor, Department of Population Health Science and Medicine, Duke University Medical Center
渡邊 清高 先生
帝京大学医学部内科学講座 腫瘍内科
病院教授
Dr.Meera Agar
Professor of Palliative Medicine, University of Technology Sydney.
Director, Center for Improving Palliative, Aged and Chronic Care through Clinical Research and Translation
Dr.Patricia Neo
Clinical Associate Professor, Head and Senior Consultant, Division of Supportive and Palliative Care, National Cancer Center Singapore
岩崎 創史 先生
札幌医科大学医学部麻酔科学講座
病院教授
Dr.Thomas LeBlanc
Associate Professor of Medicine, Division of Hematologic Malignancies and Cellular Therapy, Duke University School of Medicine.
Director, Cancer Patient Experience Research Program, Duke Cancer Institute
浜本 康夫 先生
慶應義塾大学医学部 准教授
腫瘍センター 副センター長
栗原 幸江 先生
上智大学グリーフケア研究所 特任教授
Member's News
SCPSCニュースレターに関する記事がBMJ SPCare Blogに掲載
12月4日、SCPSCニュースレターに関する記事がBMJ SPCJ SPCare Blogに掲載されました。以下にその一部を抜粋して紹介します。
SCPSCの理事長であるDr. Ishitaniは、「今緩和ケアはターニングポイント(分岐点)を迎えている」と言っています。
それを要約すると以下のようになると思います。
一つは緩和ケアの領域がdisease specific palliative care(疾患特異的緩和ケア)とdisease non-specific palliative care(疾患非特異的緩和ケア)、いわゆる全ての疾患のend of life care(終末期ケア)に分化しつつある事です。その選択は施設の思想、国の状況によって定められています。
もう一つは、緩和ケアにThomas S. Kuhnの言うparadigm shiftが起きている事です。緩和ケアに学問としての基礎的研究の必要性が認識され始めています。緩和ケアの自然科学の上では、生物学的な研究、すなわち諸症状の生物学的な機序の解明とそれに応じた治療の模索が課題となっています。また人文科学の上では、これまでの緩和ケアの人文科学的議論、例えばCommunication Skills, Advance Care Planning (ACP)などは安楽死問題に凝縮されるという意識が芽生えました。また積極的治療から緩和ケアへの移行にAI(Artificial Intelligence人工知能)/ML(Machine Learning 機械学習)による判定の研究は緩和ケアの一つのターニングポイントとして注目されています。
BMJ SPCare
2023/08
Dr.Craig Blindermanに当カンファランス理事ご就任をお願いし、ご承諾いただきました。
Dr. Blindermanは現在、コロンビア大学アービング医療センタにお務めになられています。11月1日より、メモリアル・スローン・ケタリングがんセンターのサポーティブケアサービスの主任となります。
著書や学術著作は多岐にわたります。
※新理事ご就任のご紹介は8月末締め切りの情報をもとに順番に記載しています。
History
SCPSCニュースレターへの寄稿
Dr. Russell Portenoy
Professor of Family and Social Medicine
Albert Einstein College of Medicine
がん緩和ケアに関する国際会議の企画に携わる中で私が経験する楽しみのひとつに、毎回会議の前に交わされる石谷先生とのメールのやりとりがある。会議のカリキュラムや内容を計画するために必要となる具体的な情報の提供を私に求めつつ、会議を支えるビジョンを私がより深く理解し、受け入れることができるよう配慮され、細やかな気遣いが随所にみられるメールの一通一通に感謝の念を抱く。
こうしたやりとりの多くは、緩和ケアとサポーティブ・ケアの柱である全人的ケアの視点についての見解を述べたものである。 第3回および第4回SCPSCの開催に先立ち、石谷先生は私に、がん性疼痛のような進行がんにおける重要な医学的問題についての議論と、病気への対処や適応においてスピリチュアリティが果たす複雑な役割について考察する発表の両方に、等しい場を設ける必要性について書かれたメールをくださった。 最終的な会議のアジェンダを見ると、全人的ケアというビジョンがどれほど実現されているかがわかる―私の見るところでは、それは見事に実現されていた。
石谷先生からのメールは、通常、特に痛みに関するセッションにも焦点をあてていたが、私の関心はこれまで大抵の場合、臨床実践に偏っていた。 私は、がん性疼痛がコントロールできない場合にベッドサイドで行われるべき、コンセンサスに基づいた臨床判断を強調すると同時に、入手可能な最善のエビデンスに関する情報を提供したいと考えていた。第3回および第4回合同SCPSCに先立ち、石谷先生からいただいたメッセージは、この私の考えを支持してくださるものであったが、それと同時に、疼痛の基礎科学、その病態生理学、神経薬理学、免疫学に関する情報の重要性についても、何度も再認識させてくれるものであった。 私はそこに知恵を見出すようになった。石谷先生のご協力のもと、私たちは痛みに関するセッションを企画し、いつか痛みの原因に対処する新しい治療法や、鎮痛剤管理のより個別化された医学的アプローチを可能にするような情報を提供する、先端的科学について解説する講演者を招くこととなったのである。 私にとって、各SCPSCの歴史には、私だけが特別に見ることができたと感じる一連のコミュニケーションが含まれている。それは、ケア提供者のための一流の教育イベントをチームと協力して作り上げる一方で、緩和ケアのビジョンを推進する石谷先生の類まれな能力を明らかにするものであり、注目に値する。 SCPSCとの歴史は、科学的な発見、優れた研究によるエビデンス、そして健康や病気における人間的でスピリチュアルな側面の探求をサポートする視点からのケアを捉える、全人的ケアに対する私の個人的な理解を深めてくれた―そしてそれを分かち合えることを嬉しく思っている。
Announcement from the Secretariat
事務局からのお知らせ
創刊号でお知らせした「SCPSC 2023 PHOTO BOOK」が完成し、
関係者各位にお送りいたしました。
多くの方々から御礼のメールをいただきました。
その中には「Hikoが可愛い」という言葉もいただき嬉しく思いました。
メールをお送りいただいた方々に深く感謝申し上げます。
Hiko
石谷先生の話によりますと、SCPSCに参加された方々の中には、わんちゃんやねこちゃんと幸せな生活をしている方も多くいらっしゃるとのこと、ぜひニュースレターでご紹介させていただきたいと思います。皆様方のわんちゃん、ねこちゃんご自慢の写真をお寄せください。