Update from the President
The International Research Society of the SCPSC理事長
医療法人東札幌病院 理事長
がん緩和ケアにおける病理医の積極的な参加を歓迎する
学際的協働がもたらす力、患者を支える力
多職種連携チームによるアプローチ(multidisciplinary team approach)は、がん医療の質を高めるための基盤として、これまで広く提唱されてきた。また近年では、医療における意思決定(medical decision-making) のプロセスにおいて、患者および市民の参画(patient and public involvement: PPI)の重要性がいっそう強調されるようになり、医療の在り方は「協働と自律」へと大きく転換しつつある。
東札幌病院は、がん緩和ケアを専門とする医療機関として42年の歴史を有し、包括的かつ多職種によるチーム医療の実践を積極的に推進してきた。1) 2) その中で特筆すべき取り組みが、2015年に開設された「病をよく識る外来(”Knowing the Disease Well” Clinic)」である。これは、同院副理事長であり病理・免疫センター長を務める札幌医科大学名誉教授・佐藤昇志(Noriyuki Sato)博士(2012年第71回日本癌学会The Japanese Cancer Association会長、2013年第102回日本病理学会The Japanese Society of Pathology 会長)によって発案・主導された、病理医が患者と直接対話を行う革新的なコンサルテーションモデルである。3)
病理医による対話的コンサルテーションの10年
2015年5月から2025年3月までの10年間、「病をよく識る外来」では、がん患者およびその家族を対象に、週1回(3~4名)、原則1時間の個別面談を無料で実施してきた。相談内容は多岐にわたり、
1.診断や病理学的所見を含む疾患そのものの理解、
2.検査結果の意味や解釈の明確化、
3.治療計画や病勢の見通しに関する情報提供、
4.再発・転移への不安、予後への懸念、家族関係など心理社会的問題への対応、などを含んでいる。
面談は、主治医や看護師からの紹介、または患者・家族からの自発的な申し込みによって行われた。この間の患者の背景、相談回数、フォローアップ期間、疾患の種類を表1(左画像参照)にした。面談後の病理医による記録や患者からのフィードバックを質的に分析した結果、「理解の深化」「情緒的安堵」「自律性の強化」という3つのテーマが帰納的に抽出された。患者の多くは、「安心した」「理解できた」「前向きになれた」と語り、初回面談では沈んでいた表情に笑顔が戻るケースも少なくなかった。
病理学的診断を超えて──病理医が拓くコミュニケーションの地平
代表的な事例を紹介する。
乳がん術後の経過が比較的安定していた50代女性は、姉の死去と父の入院をきっかけに強い不安を抱くようになった。小学生の娘のために長く生きたいと願いつつ、将来への絶望感に苛まれていた。病理医との面談では、病状を丁寧に説明し、病態の理解が今後を考える上での基盤であり、自身を責めず、免疫力を信じることの大切さを伝えた。相談後、彼女は「安心しました」「うれしいです」と述べ、厳しい抗がん剤治療を続ける決意を固めた。現在も半年ごとに面談を継続している。
この取り組みは、従来の医師―患者関係とは異なるアプローチである。病理医が直接患者と対話することで、検査や治療の背後にある「病の本質」への理解が深まり、それが患者の納得と安心、そして自律的な意思決定を支える土台となる。日常診療の中では拾いきれない悩みにも応える、新しい形の緩和ケア支援として注目されるべきであろう。
緩和ケアにおける次なるフロンティア
これまで、病理医による患者へのコンサルテーション(patient–pathologist consultation)は、主として病理診断情報の提供を目的としたものであり、患者の意思決定支援を明確に意図した取り組みはほとんど報告されていない。Booth4)やLapedisら5)の報告がその先駆的事例ではあるものの、緩和ケアの文脈において病理医の役割を検討した研究は皆無に等しい。その点で、「病をよく識る外来」は、病理医の専門性を患者の理解と精神的支えに結びつける、きわめて先駆的な試みといえる。
今後は、患者満足度、理解度、心理的安定性など、客観的アウトカムを含めた評価研究が求められる。
病理学の新しい息吹へ
「病をよく識る外来」によって示されたのは、病理医が多職種チームの中で果たし得る新たな役割である。病理学的知見を平易に解説し、患者の不安や疑問に寄り添うことができる病理医の存在は、診断と理解の間に横たわる溝を埋める架け橋となる。その場合、病理医の専門的知識と高いコミュニケーション能力が求められる。患者と直接向き合うことで、病理医の言葉は医療をより人間的なものへと変える力を持つ。がん緩和ケアにおける病理医の参加は、学際的医療の裾野を広げるだけでなく、患者中心の医療の核心をさらに豊かにするものである。
References
1. Terui K, Koike K, Hirayama Y, et al. Recent advance in palliative cancer care at a regional hospital in Japan. Am J Hosp Palliat Care. 2014;31(7):717–722.
2. Kusakabe T. Sapporo: history of a conference.
BMJ Support Palliative Care Blog 2023. https://blogs.bmj.com/spcare/2023/09/05/sapporo-history-of-a-conference/
https://blogs.bmj.com/spcare/2023/09/12/synopsis-of-a-conference-that-nearly-never-happened-the-2023-sapporo-conference-for-palliative-and-supportive-care-in-cancer-scpsc-in-japan/
3.Ogushi Y, Sato N, Kusakabe T. Pathologist-led support in palliative cancer care: A consultative approach to enhancing patient understanding, concerns, and autonomy. Am J Hosp Palliat Care Med. 2025.https://doi.org/10.1177/10499091251385972
4. Booth AL, Katz MS, Misialek MJ, et al. “Please help me see the dragon I am slaying”: implementation of a novel patient–pathologist consultation program and survey of patient experience. Arch Pathol Lab Med. 2019;143(7):852–858.
5. Lapedis CJ, Horowitz JK, Tolle LB, et al. The patient–pathologist consultation program: a mixed-method study of interest and motivation in cancer patients. Arch Pathol Lab Med. 2020;144(4):490–496.
「第5回がん緩和ケアに関する国際会議」のご案内
一般演題の募集締切を「 2025年12月26日(金)正午 (12:00) 」まで延長いたしました。皆様からのご応募を心よりお待ちしております。
なお、選考の結果、採択された優秀な一般演題は BMJ Supportive & Palliative Care に掲載される予定です。
下の画像をクリックすると、公式サイトにアクセスできます。
👉 https://www.sapporoconference.com/
History
「ホスピス/緩和ケアの先駆者たち――歴史認識の新たな系譜学」
過去は現在をかたちづくり、現在はつねに変容の過程にある。その変容の中から、未来への展開を見出すことができる。ゆえに、過去は不断に再評価されなければならない。系譜学とは、このようにして現在に介入するものである。— ミシェル・フーコー『知の考古学』
2025年9月25日、カナダにおいて現代緩和ケアの礎を築き、“現代緩和ケアの父”として知られるバルフォア・マウント博士が逝去されました。
その偉業を、同じ地で緩和ケアの臨床と研究に携わってこられた
カミラ・ジマーマン先生の原稿を通じて追悼いたします。ご多忙の中、温かい筆致で寄稿してくださったジマーマン先生に、心より感謝申し上げます。
Photo by マギル大学
カミラ・ジマーマン教授
シニア・サイエンティスト、プリンセス・マーガレットがんセンター〔トロント・カナダ〕/
ユニバーシティ・ヘルス・ネットワーク〔トロント・カナダ〕緩和ケア部門 部長/
トロント大学 教授〔カナダ〕
バルフォア・マウント-追悼
数か月前、このニュースレターにバルフォア・マウント医師について記事を書いてもらえないかと依頼を受けた時、私は即座に承諾したものの、この分野においてこれほど重要な人物を描く重圧も感じていた。このタスクには十分な時間をかけたいと思っていたが、助成金関連の業務や出張で、すぐに取りかかることができなかった。そうしている間にマウント医師は逝去され、緩和ケア分野におけるこの偉大な人物について書くということに、これ以上の困難で重みのあるものはないと感じている。
私はマウント医師と数回しかお会いしたことがなく、「バル」や「バルフォア」 とお呼びできるほど親しくなるには十分ではなかったが、それでも、その数回であっても、彼は私自身と私のキャリアに深い影響を与えた。1980年代後半から1990年代初めにかけて、マギル大学の医学生であった私たちは、1年次に緩和ケアの講義がたった1回しかなかった。当時、講義への出席率は驚くほど低かったが、マウント医師によるその講義が行われた講堂は学生であふれていた。映像、音楽、物語を組み合わせた先生の講義は、事実を提示する講義というよりも、むしろ一つのパフォーマンスであり、劇のような演出であった。私たちは、ピンク・フロイドの ダーク・サイド・オブ・ザ・ムーンに収録された「タイム」をはじめとする70年代の楽曲に、新しい視点や理解を持って聴き入り、それらの歌詞が死に対する社会の回避的態度をいかに象徴しているかに考えを巡らせ、心を奪われていた。私はこの講義に深い衝撃を受け、その医学部一年目のその講義の場で、緩和ケア医になることを心に誓った。同時に、数名のクラスメートとともに、ロイヤル・ビクトリア病院の緩和ケア病棟でボランティアを始めた。後にクラス代表となり、教室での学びから病院での臨床実習へと移行する節目となるイベント「リンク・フォーマル」 の講演者としてマウント医師をお招きした。先生は再び私たちを、少なくとも私を、彼のような医師を目指したいという思いで満たしてくれた。そして先生は、彼らしく、講演後に手作り(ただの手書きではなく、実際には手描き)のカードを私に送ってくださり、招待への感謝を伝えてくださった。そのカードは今も大切に保管している。
マウント医師は、私がこれまで出会った中で最もカリスマ性があり、人々の心を動かす人物の一人であった。1939年、オンタリオ州オタワに生まれ、マギル大学では泌尿器科医として、その後メモリアル・スローン・ケタリングがんセンターでは腫瘍外科医として研修を受けた。マギル大学で外科医として勤務していた頃、治療に重点を置き、ケアを軽視する医療体制に幻滅を覚えるようになった。転機となったのは、1972年にエリザベス・キューブラー=ロス医師の講演を聴いたことだった。講演でキューブラー=ロス医師は、著書『死ぬ瞬間(On Death and Dying)』について語った。北米における終末期ケアの不十分さを描写したキューブラー=ロス医師の言葉に衝撃を受けたマウント医師は、モントリオールにて、病院で死を迎える患者の終末期ケアを記録し、研究を行うことを決意した。その結果、患者は特に終末期に、制御不能な疼痛やその他の症状に苦しむことが多く、心理的、社会的、そしてスピリチュアルなニーズへの対応はさらに不足していることがわかった。そして、こうした満たされていないニーズに対応するプログラムが必要であると結論づけた。
キューブラー=ロス医師との対話を重ねる中で触発されたマウント医師は、ホスピス運動の創始者であるデイム・シシリー・ソンダースに連絡を取り、彼女に会うためセント・クリストファーズ・ホスピスを訪問した。この出会いは両者の長期にわたる親交の端緒となるとともに、1975 年にマウント医師がロイヤル・ビクトリア病院内に病院を拠点とする緩和ケアサービスおよび緩和ケア病棟を開設するきっかけとなった。しかしながら、「ホスピス」という語はフランス語圏カナダ人にとって否定的な意味合いを持っていたため、マウント医師はラテン語の 「palliare(覆う、包む)」に由来する「palliative care(パリアティブ・ケア)」という新たな用語を創り出した。彼が創設したプログラムは急速に成長し、入院病棟のみならず、コンサルテーションサービス、在宅ケアプログラム、外来クリニック、遺族ケアプログラム、そして研究および教育活動をも網羅するようになり、世界初の包括的な緩和ケアプログラムへと発展した。マウント医師の不断の努力と先見の明は、最終的に彼を、世界的に普及した臨床および学術領域における新たな学問分野の創始的リーダーへと押し上げた。
マウント医師は、「緩和ケアの父」と広く認められている。それは、彼がこの用語を創出し、この分野の先駆者であったという理由のみならず、全人的ケアという緩和ケアの理念を自ら体現していたためである。彼は、対話を交わすすべての人に自分が重要で価値のある存在だと感じさせた人物であり、その功績を示す、後世に残る証は数多くある。自身の名を冠した緩和ケア病棟のみならず、「マギル緩和ケア」や「マギル大学統合的全人的ケアプログラム」を創設。さらに、カナダ緩和医療学会の初代会長を務め、加えて、エリック・M・フランダース緩和ケア名誉教授としても貢献。1976 年には、隔年開催の国際緩和ケア会議を共同設立し、この会議は現在もモントリオールにて2年ごとに継続的に開催されている。彼は、カナダ勲章のオフィサー、ケベック国家勲章のオフィサー、エリザベス女王二世即位 60 周年記念メダルなど、数多くの賞と栄誉を授与されており、2018 年には、彼のカナダ医療殿堂への殿堂入りの式典に参列するため、私はハミルトンを訪れた。
マウント医師は、彼自身が創設した緩和ケア病棟において、2025 年 9 月 25 日に逝去した。彼が私たちに遺してくれたのは、創設した諸プログラム、彼が育成し、指導し、影響を与えた多くの人々、そして彼の功績を基盤として発展した臨床および学術分野そのものという大きな遺産である。さらに彼は、この分野に携わる者として誇りを持つこと、そして患者個人やその症状のみではなく、彼らの希望、恐れ、尊厳、人間性を含む全人的存在とその家族をケアする、という緩和ケア本来の目的を常に想起することを私たちに教えてくれたのである。
カナダから遠く離れた日本で撮影された風景ですが、
この光景は、どこかBalfour Mount先生の穏やかなまなざしと、
彩り豊かな人生を思わせます。
Thrilling News: A Joyous Announcement!
BMJSPCare は、がん緩和ケアに関する国際研究学会(IRS-SCPSC)と提携し、ニュースレターをBMJSPCフォーラムで共同発行しています。
2025年8月12日、SCPSCニュースレター夏号がBMJSPCareフォーラムに掲載されました。
Member's News
新理事就任のお知らせ
松永 卓也 先生
医療法人東札幌病院 血液内科部長
Dr. Kunihiko Ishitani's Choice
石谷邦彦先生が注目した最新の研究をご紹介します。
【お知らせ】本号より「Topics」を「Dr. Kunihiko Ishitani's Choice」に改称いたしました。
1, No health without peace
Academia Medicine 2025;2
doi.org/10.20935/AcadMed7637
2, Ending nuclear weapons, before they end us
Journal of the National Cancer Institute, 2025, 117(7), 1296–1298 https://doi.org/10.1093/jnci/djaf102
3, Epidemiological and demographic trends and projections in global health from 1970 to 2050: a descriptive analysis from the third Lancet Commission
https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(25)00902-X/
4, The evolution of serious health-related suffering from 1990 to 2021: an update to The Lancet Commission on global access to palliative care and pain relief
Lancet Glob Health 2025; 13(3): e422–436
DOI: 10.1016/S2214-109X(24)00476-5
(comment;The paradox of increasing serious health-related suffering Camilla Zimmermann )
5, Future care planning BMJ Supportive & Palliative Care. 2025;15:614-
https://spcare.bmj.com/content/15/5/614
6, Senescence as a therapeutic target in cancer and age-related diseasesNat Rev Drug Discov, 2025. 24(1):57-71
https://doi.org/10.1038/s41573-024-01074-4
7, Early identification of weight loss trajectories in advanced cancer andassociations with survivalJournal of the National Cancer Institute, 2025. 117(8),1729–1732
https://doi.org/10.1093/jnci/djaf030
8, Chronic opioid use and incident opioid use disorders in survivors of adolescent and young adult cancer after cancer treatment
Cancer,2025. 131, (10),e35866
https//doi.org/10.1002/cncr.35866
9, Cancer vaccines and the future of immunotherapy
Lancet 2025. 406,(10499) p189-202
DOI: 10.1016/S0140-6736(25)00553-7
10, Patient and carer experience of chimeric antigen receptor T-cell therapy: a multicentre qualitative study
BMJ Supportive & Palliative Care 2025;0:1–10.
https://doi.org/10.1136/spcare-2025-005371
Dr. Kunihiko Ishitani's Choice (continued)
11, Mapping of Children’s Palliative Care Development Globally in 2023 Children. 2025, 12(4), 440
https://doi.org/10.3390/children12040440
12, Early phase study enrollment in Canadian children with cancer near end of life: A retrospective cohort study from Cancer in Young People in Canada
Cancer,2025.131, (12), e35942
https://doi.org/10.1002/cncr.35942
13, Improving assessment of financial toxicity of cancer immunotherapySupportive Care in Cancer. 2025.33:735 https://doi.org/10.1007/s00520-025-09796-w
14, Financial Toxicity in Cancer Clinical Trials: An Issue in Need of Clarity and Solutions
Journal of Clinical Oncology, 2025.43,(20)
https://doi.org/10.1200/JCO-24-01577
15, Voluntary-assisted dying, euthanasia and physician-assisted suicide: globalperspectives-systematic reviewBMJ Supportive & Palliative Care 2025;15:423-435.
https://doi.org/10.1136/spcare-2024-005116
16, Does voluntary assisted dying impact quality palliative care? A retrospective mixed-method studyBMJ Supportive & Palliative Care 2024;0:1–11.
https://doi.org/10.1136/spcare-2024-004946
17, Psychotherapy and counselling as a tool for promoting dignity in mental healthAcademia Mental Health and Well-Being, 2025.2;( 2)
https://www.doi.org/10.20935/MHealthWellB7636
18, Dignity, families, and family therapy Academia Mental Health and Well-Being. 2025.2 (2)
https://www.doi.org/10.20935/MHealthWellB7674
19, Navigating culture and religion in palliative care
BMJ Supportive & Palliative Care 2025.0:1–8.
https://doi.org/10.1136/spcare-2025-005613
20, Reimagining cancer care in the USA: advancing supportive oncology throughthe Cancer Moonshot ProgramBMJ Supportive & Palliative Care 2025;0:1-3.
https://spcare.bmj.com/content/early/2025/06/27/spcare-2025-005547
Overseas Experience Report
支える医療の“中心”を訪ねて — シャーロットの Levine Cancer Institute
SCPSC Newsletter Editor Yukie Ishitani
2025年6月30日から7月1日にかけて、当学会理事長の石谷邦彦先生に同行し、米国ノースカロライナ州シャーロットの Levine Cancer Institute(LCI)を訪問しました。(https://atriumhealth.org/for-providers/declan-walsh)落ち着きと上品さに満ちた街並みは、この地での実りある出会いを静かに予感させてくれました。
訪問中は、Supportive Oncology 部門長の Dr. Declan Walsh に終始ご案内いただきました。ご多忙のなか、予定を丁寧に整えてくださり、ときに “Would you like some coffee?” と穏やかに声をかけてくださるお心遣いも印象的でした。静かな思いやりに、まさに 「ジェントルマン」の風格を感じました。
教育担当医をはじめ、その他の多職種の皆さまから日々の実践を伺い、患者中心の支援が院内外で有機的に連携していることを実感しました。さらに、緩和ケアの第一人者である Palliative Medicine 部門長のDr. Mellar Davis にもお目にかかる機会を得て、大変光栄に存じました。また、Hospice and Palliative Medicine フェローシッププログラム・ディレクターの Dr. Armida Parala-Metz にもお目にかかることができました。
チーム全体に共通していたのは、穏やかな物腰と仕事への誇りでした。ミーティングの折には、石谷理事長より来年開催される第5回 SCPSC についてフライヤーをお示しし、ご紹介しました。Dr. Walsh が難易度の高いセッションで座長を務められる予定であることをお伝えすると、皆さまが熱心に耳を傾け、自然で温かな対話が広がりました。
Dr. Walsh と石谷理事長のあいだでは、互いの理念と歩みに対する敬意が感じられ、静かな信頼関係が自然とにじんでいました。短い滞在ではありましたが、「協働・尊重・患者中心」という価値が息づく現場を目の当たりにし、深い学びと感動をいただきました。Dr. Walsh をはじめ、LCI の皆さまの温かさと誠実なご対応に、心より感謝申し上げます。
Levine Cancer Institute (LCI)の外観
参考文献
1 York B, Self J, Walsh D. Supportive oncology development in a major metropolitan area: regional services. Support Care Cancer (2025) 33:536. https://doi.org/10.1007/s00520-025-09565-9
Announcement from the SCPSC Team
読者の皆様へ
ここ札幌は晩秋を迎えました。5th SCPSC の準備もチーム一同、着実に進めております。このたび、一般演題の募集締切を 2025年12月26日(金)12:00 まで延長いたしました。皆様のご応募を心よりお待ち申し上げております。
すでに多くの方から「プログラムが素晴らしい」とのお声をいただいており、海外からの参加者を迎え、国際的な学びの場になることを楽しみにしております。本号もどうぞご覧ください。
季節の変わり目、体調には十分ご留意ください。SCPSCチーム一同